「広島県の公教育」が大変貌、教育長・平川理恵「もっと教委は現場に行け」の真意 国際バカロレア、イエナプラン、不登校支援ほか
印象的なのが5番目の「教職員の心に火をつけ、伴走し、はしごを絶対に外さない」だ。その意図を尋ねると、平川氏はこう説明した。
「大人も子どもも、『自分は何者か』という問いを持つべきだと思うのです。とはいえ、探究的な学習もすぐにはできないかもしれません。けれど、誰かが伴走すれば、教員は経験値や成功体験を得ながら探究的な学習ができるはず。これまでは、国の方針も『次は○○教育だ』『今度は△△教育だ』と次々と変わってきました。すると、教職員も『どうせ』と思ってしまう。だからこそ、『いや、違いますよ。はしごは外しませんよ』とあえて書いたわけです。何のために教育委員会があるのかといえば、子どものため。学校が変わるには教育委員会が変わらないと。校長と教頭、教頭と教員、担任と生徒という関係は、すべて相関関係があり、つながっています。つながっているドミノを教育委員会から倒して、変革をしていこうと考えています」
力強いリーダーシップを発揮し、次々と政策を実現する平川氏だが、「ここまで来られたのは、教育委員会の皆さんのグッドフォロワーシップがあったからこそ」と話す。広島県の教育改革が一気に進んだのは、教育長と教育委員会の職員、そして現場の教職員が互いに伴走してきたからといえるだろう。
広島県では現在も、内申書の見直しや学校図書室のリニューアル、工業高校・農業高校のアップデートなど、さまざまな取り組みが同時多発的に進んでいる。イノベーティブな教育委員会が今後さらにどんな変革を進め、それによって学校や子どもがどう変化するのか、引き続き注目を集めそうだ。
(文:吉田渓、注記のない写真:ペイレスイメージズ1(モデル) / PIXTA)
東洋経済education × ICT編集部
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