「広島県の公教育」が大変貌、教育長・平川理恵「もっと教委は現場に行け」の真意 国際バカロレア、イエナプラン、不登校支援ほか

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平川理恵(ひらかわ・りえ)
広島県教育委員会教育長
京都市生まれ。1991年同志社大学卒業後、リクルートに入社。98年南カリフォルニア大学経営学修士(MBA)取得。99年留学仲介会社を起業。2010年全国で女性初の公立中学校民間人校長として横浜市立市ヶ尾中学校に着任。15年横浜市立中川西中学校校長。文部科学省中央教育審議会の各委員を歴任し、新学習指導要領改訂作業に携わる。18年4月から現職。著書に『クリエイティブな校長になろう』(教育開発研究所)、『あなたの子どもが「自立」した大人になるために』(世界文化社)などがある。今年3月には、上阪徹氏が平川氏を取材して著した『子どもが面白がる学校を創る 平川理恵・広島県教育長の公立校改革』(日経BP)が発売されている
(写真:広島県教育委員会提供)

公立校の選択肢を増やすことには、2つの意義があると平川氏は指摘する。

1つは、保護者の経済的な負担を増やすことなく子どもの選択肢を増やせること。もう1つは、県全体の教育の活性化につながるということだ。

公立校には教員の異動がある。イエナプラン教育校や国際バカロレア認定校、SSR設置校のあり方や教育を実践した教員が各地に異動すれば、県全体の教育を変えていける。このように、学校教育の選択肢を増やすことで、広島県が目指す「コンピテンシーの育成を目指した主体的な学びの充実」を実現しようというわけだ。

広島県知事自ら「組織風土を変えて」と依頼

平川氏が広島県教育長に就任したのは2018年のこと。リクルートで営業職を経験後、30代で留学仲介会社を起業。その後、公募で神奈川県の中学校校長に就任したという異色の経歴の持ち主だ。そんな平川氏を抜擢したのは、広島県知事・湯﨑英彦氏だった。

「湯﨑さんから言われたのは、『学校や教育委員会の組織風土を変えてほしい』ということ。何を言っても許される自由闊達な組織風土にしてくれと。どんな組織でも意見交換ができない限りイノベーションは起こりませんから」

就任した平川氏が、まず行ったのが学校訪問だ。県教育委員会が管轄する高校だけでなく、小学校、中学校、義務教育学校も含め、1年間で158校を訪問した。現場主義を貫く理由をこう述べる。

「今は一億総評論家の時代。誰でも意見は言いますが、それを実現するために必要なのはアクションです。現場は学校と教室であり、先生と子どもの関係こそがすべて。いくらきれい事を並べても、子どもが燃える授業になっていなければ駄目で、現場が動いているのを確認しながら次を進めないとならない。現場に行くとわかることがたくさんあるんです。何度も行っていると、占い師のように、問題がある所に自然と足も向く。現場がいちばん困っていることを聞いて、その費用を申請できるように対応もします」

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