元ビリギャル・小林さやか「米国名門大学院進学」決めた理由とは? 「偏差値30から慶応大」経て描く、教育の夢とは?
小林さんは、その思いをすぐに行動に移し、19年から聖心女子大学大学院で教育学を学び始めた。そこで、講演を通して感じていた自分の仮説が正しかったことを確信する。それは、子どもたちの可能性を引き出すのは学習環境がすべてであるということだった。もともと子どもが持っている素質を伸ばすには、学習環境が重要だ。どんなにすばらしい素質を持っていても、学習環境に恵まれなければ、その才能は開花できない場合が多い。まずは、学校の先生たちの学習環境に対する意識を変えることができれば、学校での学び、ひいては公教育を変えることができるかもしれない。そう思ったと小林さんは語る。
「学習には『転移』が必要です。要は学んだこととリアルな世界がつながっているという実感がないと子どもたちは学べないのです。この転移が起こる環境があれば、子どもたちは積極的に勉強するようになります。こうした転移を日常の授業でいかにつくっていくのか。実際に大学院での研究結果を現場の学校で試してみると、驚くほどの成果が出ました。子どもたちの目は輝き始め、学校も変わっていったのです。この分野をもっと深く学びたい。そのために、米国で勉強したいと思うようになったのです」
「1日8時間」コロナ禍で準備した、大学院留学への道
小林さんが留学を決意したのは、2020年1月。そこから合格までは約2年。大変だった。聖心女子大学大学院の修士論文を仕上げると、留学に必要なTOEFL対策のため、英語の勉強に集中。大学受験の時に、基礎はやったといっても、社会人となってから使うことのなかった英語。1日8時間、英検準2級レベルから勉強をやり直した。米国の大学院に留学するには、このTOEFLほか、エッセー、推薦状3通、GPA(成績評価指標)が必要になる。
「GPAは、所属するコミュニティーへの貢献度を示す重要な指標となっており、私は大学院でオールAだったので、GPAは4.0の高評価でした。日本の学生は学校の成績を気にしない人も多いかもしれませんが、実は留学するためにはGPAがとても重要です。留学しようにもこの成績がネックとなって希望の進学先への道が絶たれる人も少なくないと聞きます。留学したいと思っている人は、高校・大学時代によい成績を取るように努力しておくことをお勧めします。しかし、それ以上に重要なのは、やはりエッセーですね。入学審査官に思いをしっかり伝えられれば、門戸は開かれます」
猛勉強を経て、小林さんが願書を出したのは、ハーバード、スタンフォード、コロンビア、ペンシルベニア、UCLA、UCバークレー、ノースウェスタンと、いずれも認知科学、発達心理学、学習科学のプログラムが充実している大学院だ。結果、コロンビアとUCLAから合格通知が届いた。留学を決意してから2年間。努力がかない、今年からニューヨークにあるコロンビア大学の教育大学院へ進学することになった。
「コロンビア大学教育大学院はティーチャーズカレッジといわれており、教育学のプログラムは全米の中でも非常に充実しています。多様な視点で教育学を学べる世界最大級の教育大学院です。学校現場との実践的な研究が進んでいるUCLAにもひかれたのですが、世界中から多様な人が集まるニューヨークという地の利もあり、多くの出会いに恵まれるであろう環境はやはり見逃せないと思いました」