ロシアのウクライナ侵攻に対し、G7(主要7カ国)など西側諸国は前例のない強力な経済制裁を科している。国際決済システムのSWIFT(国際銀行間通信協会)からの一部銀行の排除やロシア中央銀行の外貨準備資産凍結などだ。各国民間企業によるロシアからの事業撤退・停止も相次ぐ。ロシアの通貨暴落など経済的圧力を加え、プーチン政権に侵攻の継続を断念させるためだ。
「第3次世界大戦」につながる米欧の直接的軍事介入が事実上不可能である中、経済制裁は戦争を食い止める有力な手段の1つだ。ただ、制裁を科す側への“返り血”となるさまざまなリスクが存在し、すでに顕在化している。
まず、ロシア発エネルギー危機、金融危機の世界経済への波及がある。ロシア産エネルギー資源への依存度の高い欧州などに配慮し、制裁には抜け道が用意されたが、ロシア産調達の手控えや制裁強化による供給不安から石油や天然ガスの価格は急騰した。それが世界的なインフレを助長し、消費者・企業心理の悪化も招いている。
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