LCC最大手のピーチ・アビエーションがコロナ禍からの回復に向け、苦闘を続けている。かつての「破天荒さ」を取り戻せるのか。
1回5000円で「行き先を選べない飛行機旅」を――。
「旅くじ」と称する、こんなユニークな旅行商品を提供しているのは、国内LCC(低コスト航空会社)最大手のピーチ・アビエーションだ。8月に大阪市の心斎橋PARCOからスタートし、東京都や愛知県など全国4店舗のPARCOに設置した旅行自販機「旅くじ」でカプセルを購入してもらい、ランダムに指定された路線限定で旅行してもらう。
「札幌に行って、カニを苦労してむいて、隣の人にあげてきて!」など、旅行先の「ミッション」も指示される。この指示を守り、ピーチが運用する旅の口コミサイト「tabinoco(タビノコ)」に投稿すると、3000円相当のピーチポイントが当たる。12月17日からは航空機内でもカプセルを購入できるようになった。
企画のきっかけは8月、ピーチが心斎橋PARCO内のコワーキングスペース「SkiiMa」(スキーマ)へ入居するにあたり、施設内で売り上げをあげようとしたことだ。ピーチの小笹俊太郎ブランドマネージャーは「冗談みたいだが、社内では1日1個売れればいいと報告していたほど、売れると思っていなかった」と振り返る。
大胆なビジネス展開で差別化
ピーチの大胆なビジネス展開は旅くじにとどまらない。10月には航空券定額サービス「Peachホーダイパス」を販売した。10月19日正午の販売開始からわずか5時間足らずで完売した。購入者は11月、もっとも安くて1万9800円を支払えば、国内全路線が1カ月乗り放題となった。2022年1月にも同1万4800円からで、九州発着13路線限定の第2弾が決まっている。
ピーチは2012年の就航当初から、徹底した低コストと低運賃で差別化してきた。気軽に飛行機に乗ってほしいとの思いから「空飛ぶ電車」というコンセプトを掲げ、2020年度の旅客単価は全日本空輸が1万5700円、日本航空で1万3700円なのに対し、ピーチは7300円だった。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
東洋経済ID 会員特典
東洋経済IDにご登録いただくと、無料会員限定記事を閲覧できるほか、記事のブックマークや著者フォロー機能、キャンペーン応募などの会員限定機能や特典をご利用いただけます。
東洋経済IDについての詳細はこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら