かつてグローバルなサプライチェーン(供給網)を重大な懸念事項と捉える政策担当者はいなかった。今は違う。各国の政策担当者の頭の中は目下、物不足と急激な物価上昇の原因となっている供給網問題でいっぱいだ。
供給網はこれからの経済の安定のカギになる。米バイデン政権がそうした認識を示したことは評価できる。供給網の強化に向けてホワイトハウスが6月に公表した250ページの報告書には、重要な提案が多数含まれている。防衛産業の輸入依存が国家安全保障に及ぼす影響にも検討が加えられた。
中でも重要なのは、グローバルな供給網がさまざまな費用を社会に押し付けているという考察だ。「わが国の民間部門および公共政策の国内生産に対する向き合い方は、長年にわたり(国家や経済の)安全、持続可能性、復元力よりも効率を優先し、結果としてさまざまな供給網リスクをもたらしてきた」。報告書はそう指摘し、極度にグローバル化した供給網は、はたして経済の効率化につながるのか、という疑問を投げかけている。
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