英グラスゴーで開かれたCOP26(国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議)における最大の失望は、広く支持されていた石炭火力発電の「フェーズアウト(段階的廃止)」案が土壇場で弱められたことだ。廃止に反発する中国にインドが味方し、成果文書の文言が採択直前に「フェーズダウン(段階的削減)」に書き換えられた。「フェーズダウン」などというおかしな英語を、私は決して口にしたり書いたりはしない。説得力がまるで感じられない言葉だからだ。例えばアルコール依存症の人間が酒量の「フェーズダウン」を誓ったとしよう。酒量が減らないのは目に見えている。
中国の石炭消費量は世界の半分を超え、建設中の石炭火力発電所の発電能力でも世界トップにある。中国はなぜ気候対策をもっと強化しようとしないのか。COP26でそう詰め寄られた中国の首席交渉官は、中国共産党の現5カ年計画を持ち出して「段階的削減」の立場を押し通した。
つまり人類の未来は、今や中国共産党の計画に左右されるようになったのである。
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