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「機械化デフレ」を見落とすな ポストコロナのインフレ論

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このところ、誰もが気にしているように見えるのがインフレだ。一般には、米国の大規模な経済刺激策によって、これまで抑え込まれてきたインフレ期待が切り上がり、物価が制御不能になるのかどうかが争点になっている。しかし、脱グローバル化というもう1つの潮流も、インフレ圧力の増大につながりうる。

脱グローバル化は2008年の世界金融危機から続く現象だが、新型コロナ禍で大きく拍車がかかった。筆者らの研究によれば、過去30年にわたってグローバル化を牽引してきた現代的な国際分業網、グローバル・バリューチェーン(GVC)はコロナショックで35%縮小する可能性が高い。この予測は、ドイツの製造企業の約19%が生産の国内回帰を計画しているという、独ifo経済研究所の最近の調査とも符合する。

輸送コストの高騰も、GVCの巻き戻しを勢いづける要因となりそうだ。アジアから欧米へのコンテナ輸送費はコロナ禍で10倍近く上昇。劣悪な労働条件が嫌われる物流業界では人手不足も深刻化しており、企業の物流費は全体としてこの1年で10倍になった。

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