新型コロナウイルスの感染状況が落ち着き、先行きの不透明感も徐々に解消に向かっているように思われる。思い返せばこの2年間、国内感染者数、基本再生産数、人流とGDP(国内総生産)など、感染状況と経済活動を示すデータが大いに注目された。
一方、それらのデータや予測に振り回されたと感じている人もいるだろう。研究者による経済予測や見通しは、データと理論モデルを組み合わせることで算出される。本稿ではその結果の信頼性を、統計学的な見地から考えてみたい。
今、国内のワクチン接種では、主に米モデルナ社製と米ファイザー社製のものが使用されている。ただし、2つのワクチンの臨床試験での統計的検証に、まったく異なる統計学派のアプローチが採用されていたことは、あまり知られていない。モデルナ社製では「頻度論統計学」が、ファイザー社製では「ベイズ統計学」が用いられた。
違いは何か。頻度論統計学では、特定の母集団において、ある事象がどんな頻度で発生するのかを考える。入門レベルの統計学で学ぶのはこちらだ。このアプローチでは、分析に使用する理論モデルのパラメーターの値(=母集団の性質、と考えればよい)は一定だ。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
東洋経済ID 会員特典
東洋経済IDにご登録いただくと、無料会員限定記事を閲覧できるほか、記事のブックマークや著者フォロー機能、キャンペーン応募などの会員限定機能や特典をご利用いただけます。
東洋経済IDについての詳細はこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら