昭和の時代に大成功した日本的経営の行き詰まりが鮮明になっている。改革を進めるには経営者の歴史観と覚悟が問われる。

中小企業が生産性を向上するには、量の追求とコスト削減を優先する考え方から脱却し、付加価値向上と単価引き上げに取り組むべきだ、と冨山氏は語る(撮影:尾形文繁)
2040年という長期視点で日本を立て直すために、経済の牽引役である企業が稼ぐ力を取り戻す必要がある。日本企業は1990年代以降、競争力を落としてしまった。その原因は何で、どうすれば復活できるのか。また、働く人々も恩恵を受けられるのか。企業再生に詳しい経営共創基盤グループ・冨山和彦会長に聞いた。
――日本経済の低迷は日本企業の収益力低下が原因の1つです。稼ぐ力を取り戻すには何が必要でしょうか。
そもそも日本企業が「稼げなくなっている」という自覚に乏しい。それは企業の側にも、社会全般にもいえる。日本企業の利益水準はアメリカのGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)と比較すると、雀の涙ほどしかない。所得の源泉は企業収益だが、それが増えないので個人の所得も持続的に増えない。
アベノミクスで日本経済が成長したという人がいるが、大して成長していない。この程度で成長か分配かという議論をするのは切ないだけだ。分配比率を増やせば、その一瞬の所得は増えるが、持続的に所得を増やすには企業の生産性を上げていかないといけない。
2040年という長期視野で考えるなら、どの分野が伸びるといった予想をしても当たらない。必要なのはイノベーションであり、イノベーションのための投資だ。
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