今や五輪実現を最大の政治的レガシー候補と見定めるが、裏目に出れば政権沈没も。
東京五輪開幕まで1カ月を切った。6月11〜13日、主要7カ国首脳会議(G7サミット)に参加した菅義偉首相は、五輪主催国として開催支持を訴え、各国首脳の同意を得て、首脳宣言に「安全・安心な形での開催の支持」と盛り込むことに成功した。
帰国後、7月4日の東京都議会議員選挙と23日の夏季五輪大会開幕を見据えて、6月16日、通常国会を延長なしで閉会にした。新型コロナウイルス対策の3回目の緊急事態宣言も、沖縄県を除いて、予定どおり20日に解除した。
菅首相は6月7日、参議院決算委員会で「国民の命と健康を守ることが五輪開催の前提条件。それが崩れれば、行わない」と述べたが、一方で「開催は決定済み」と繰り返し言明する。開催一直線の方針とみて疑いない。
開催の決定権限は国際オリンピック委員会(IOC)にある。IOCは1年延期後の東京大会の開催を決定済みだが、国民の反応は複雑だ。開催の是非を尋ねた世論調査では、18日発表の時事通信は「開催」30.4%、「中止」40.7%、20日発表の朝日新聞は「今夏に開催」34%、「中止」32%だった。IOCの決定にもかかわらず、民意の五輪離れは強く、開催は未確定とみる国民は多い。
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