コロナ禍による在宅勤務奨励の影響を受けて移動需要が縮小する中、公共交通機関の運行事業者は未曾有の危機に見舞われているといっても過言ではない。そんな中、政府は5月28日に、2025年度までの交通政策の方向性を示す「交通政策基本計画(第2次計画)」を閣議決定した。
この計画で最も注目されているポイントは、鉄道運賃を時間帯や曜日に応じて変動させる「変動運賃制(ダイナミックプライシング)」の導入検討だ。繁忙時間帯の運賃を上げる一方、閑散時間帯は下げるというもので、通勤通学時の混雑緩和や時差通勤の促進に寄与することが期待されている。
だが、ラッシュ時に乗らざるを得ない人には実質的な値上げとなるなど、いざ導入しようとするとさまざまな問題が浮上しそうだ。
「同じ区間の運賃を時間帯によって変える」という手法はシステム上のハードルが高そうに見えるが、首都圏全体で1200万人の人口を抱えるイギリスの首都・ロンドンでは、時間帯別の変動運賃制をすでに30年以上実施している。果たして分散乗車や混雑緩和に役立っているのだろうか。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら