世界の株式市場を揺るがす米国のインフレ懸念と長期金利上昇の行方。
「米国は過去40年で最も深刻なインフレの初期段階に直面している」。そう警告するのが、クリントン政権で財務長官を務めたサマーズ氏だ。バイデン政権の1.9兆ドル(約200兆円)の追加経済対策が議会を通過する中、1人約15万円の現金給付を柱とした大型財政支出が需給ギャップを大幅に上回る過剰な需要とインフレを生み出すとみる。
金融市場でも、期待インフレ率の上昇とともに長期金利(10年物国債利回り)が急騰。2月下旬には一時、約1年ぶりに1.6%台に乗せた。平均配当利回りとほぼ同レベルへの急上昇を受け、米株式市場は一時急落するなど世界の市場を巻き込んで神経質な展開となっている。米金利上昇はドル高円安の要因ともなった。
米国の経済は世界最大規模であり、その株式市場は時価総額で世界の4割強を占める。米国と関係の深い日本の先行きを占ううえでも米国の動向は極めて重要だ。
昨年来の米経済を振り返ると、新型コロナ禍で2020年4~6月期の実質GDP(国内総生産)が前期比年率30%を超すマイナス成長に転落。だが大規模な金融緩和と財政出動で年後半には急回復に転じた。FRB(米連邦準備制度理事会)はゼロ金利とともに米国債などを月1200億ドル分購入する量的緩和を続け、政府は昨年累計約4兆ドルの経済対策を講じた。20年の実質成長率はマイナス3.4%(IMF〈国際通貨基金〉)と戦後最悪だが、先進主要国の中では最も軽度に抑えた。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録頂くと、週刊東洋経済のバックナンバーやオリジナル記事などが読み放題でご利用頂けます。
- 週刊東洋経済のバックナンバー(PDF版)約1,000冊が読み放題
- 東洋経済のオリジナル記事1,000本以上が読み放題
- おすすめ情報をメルマガでお届け
- 限定セミナーにご招待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら