莫大な資金を動かすヘッジファンド。その投資戦略を読み解く。

国際金融アナリスト 大井 幸子(おおい・さちこ)米ジョンズ・ホプキンス大学へ留学。米キダー・ピーボディ証券などで債券調査・営業。2001年にニューヨークでSAIL, LLCを設立し、日本の機関投資家向けにヘッジファンドの情報提供などを行う。著書多数。(撮影:尾形文繁)

私は米国を中心に世界のヘッジファンド(HF)の動きをウォッチしている。
HFは、年金基金や富裕層などから預かった膨大な資金を元手に、さまざまな戦略で投資を行う。優秀な運用者を世界中からかき集めたり、最先端のAI(人工知能)を駆使したりして、リターンの最大化を目的に動く。
そんな彼らが肝を冷やしたのが、1月下旬に米国で起きたゲームストップ(GME)株をめぐる騒動だ。
GMEは店頭でゲームを小売りする昔ながらの業態。株価が下がるとみて、大手HFのメルヴィン・キャピタルなどがカラ売りを仕掛けた。それがツイッターで広まると、証券会社ロビンフッド・マーケッツの手数料なしで取引できるアプリを利用する個人投資家を中心に、GME株が一斉に買われた。
「HF vs. 個人投資家」の様相を呈し、GME株が暴騰。カラ売りしていたメルヴィンは買い戻しを迫られ、莫大な損失を被り事実上破綻して、より大きなHFのシタデルの救済を仰ぐこととなった。
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