「出口に向かうシナリオはまったく見えない」 インタビュー/慶應義塾大学教授 白井さゆり

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慶應義塾大学の白井さゆり教授は「株を買っている日銀には出口が見えない」と語る(2019年5月撮影、撮影:梅谷秀司)

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かつてない大規模な金融緩和と財政出動によって世界経済は回復傾向にある。その一方、長期金利の急騰や高値が続く株価は乱高下している。
市場の混乱が続く中、「金融緩和の点検」を行う日本銀行やアメリカのFRB(連邦準備制度理事会)はどう対応していくのか。
日本銀行の元審議委員で、国際金融に詳しい慶應義塾大学の白井さゆり教授に聞いた。

日本は構造的にインフレになりにくい

――日銀の「金融緩和の点検」をどのように予想していますか。

2020年12月に点検をやると発表したとき、何のためにやるのかと驚いた。国債の買い入れについてはイールドカーブ・コントロール(YCC)の導入により量が重要でなくなり、コロナ禍で国債の買い入れは無制限になった。

10年債金利は2018年に変動幅を拡大させ、ETFやJ-REITの買い入れも弾力化している。緩和手段としてこれ以上やることはない。

日銀は今回、金融緩和をより効果的にすると言っているが、これまで物価目標の2%に近づけるような効果のある政策はなかった。追加緩和は考えにくいし、金融緩和の枠組みは変えないと言っていることからすると、あとは「柔軟性の拡大」しか考えられない。

狙いは恐らく2つある。

1つは10年債金利の変動幅拡大。現在のプラスマイナス0.2%をプラスマイナス0.4~0.5%にする。アメリカの金利上昇とともに、日欧の金利も上昇しているが、変動幅が狭いとコントロールが大変になる。YCCをやりやすくするとともに、イールドカーブの傾きを急にしたいのだろう。

――もう1つは何ですか。

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