ETF買い入れの副作用が問題に
――日銀が今やろうとしている「金融緩和の点検」について、どのように見ていますか。
アベノミクスと黒田日銀の異次元緩和は、資産デフレと超円高による「雪」を融かし、円安・株高の流れをつくることに狙いがあった。紆余曲折はあったが、日経平均株価は3万円台を回復し、為替も1ドル105円前後で安定している。これらは雪を融かしたということであり、成果はあったといえる。
しかし、副作用が出ているのも実情だ。マイナス金利によって金融機関、特に地域金融機関の収支に影響が如実に出ている。(2016年9月に導入した)イールドカーブ・コントロール(YCC)によって超長期の金利がプラスとなって保険や年金基金への影響は和らいだが、依然として期間が10年以下の国債金利は(0%以下に)「水没」している。
日銀のETF買いによって、日銀の株式保有は国内投資家の中ではGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)を抜いて最大となった。一部の銘柄の価格形成がいびつになっているとの議論も出ている。原則6兆円、上限12兆円の買い入れをこのまま続けることは難しい。つまり、副作用をどうするかという問題意識が高まっている。
今回の点検を通じ、日銀としてはETF買い入れの柔軟化を進めようというのが本音だろう。ただ、外国人投資家に代わる強力な(株式の)買い手が国内に存在するわけではなく、(ETF買いという)ハシゴをすぐには外せない。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
東洋経済ID 会員特典
東洋経済IDにご登録いただくと、無料会員限定記事を閲覧できるほか、記事のブックマークや著者フォロー機能、キャンペーン応募などの会員限定機能や特典をご利用いただけます。
東洋経済IDについての詳細はこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら