有料会員登録 東洋経済オンラインとは
政治・経済・投資 #ホットイシュー

「国債はいくらでも発行できる」の危うさ、MMTブームの先に待つ円安・インフレ・国家財政破綻の歴史的教訓・下

8分で読める 会員登録で読める
日本やアメリカは財政赤字を続けている。国家破綻に近づきつつあるのではないか(写真:cba/PIXTA)

INDEX

この記事は「国債はいくらでも発行できる」の危うさ、MMTブームの先に待つ円安・インフレ・国家財政破綻の歴史的教訓・上」の続きです。

アメリカでは、金融経済学者のハイマン・ミンスキー(1919~96年)が1966年に生じた「ミニ恐慌」の最中、最後の貸し手としての中央銀行の役割を強調し、銀行学派のような大量のドル支援を行うことを示唆していた。

これと同様の考えは29年の恐慌を研究したシカゴ学派のミルトン・フリードマン(1912~2006年)とアンナ・ジェイコブソン・シュウォーツ(1915~2012年)も同じで、「ヘリコプターマネー」といわれる銀行券の創出といった理論であった。

やがて71年ドルと金とのリンクがなくなり、ドルは無限の発行を可能にする下地が整う。毎年アメリカ議会で公債発行の上限が議論されているが、今ではトランプ政権下で天井なしとなり、無限発行のドルの出現となった。

発行した貨幣をどう受け取らせるか

MMT理論の前提は、銀行券は実体のある貨幣ではなく、流通手段として、資本として機能しうる機能的貨幣であることである。とにかく誰でも「子ども銀行」よろしく銀行券を発行できる。

しかし、それをどう相手に受け取らせるかという点が、違うところだという。そこには、中央銀行の有価証券や貴金属の準備がたとえ不換紙幣だとしても必要なのだが、中央銀行は国家と同一化し、その権威的信用によって信用創造する。「イワシの頭も信心から」の例えだ。

そしてその背景には、国家が国内経済を支えていて、国家の債務は、民間企業の債権であるというゼロサム(差し引きゼロ)的発想がある。国家の債務が増えるほど民間債権が増えるとすれば、民間が経済成長するためには国家はどんどん債務を発行していかねばならない。

しかし実際には国家は世界国家ではないので、国際的環境の中で公債を発行し、中央銀行は準備金を前提にして、為替率を維持し、インフレを避けることを考えながら銀行券を発行しなければならない。国家と中央銀行は分離している。そして民間企業も家計も、政府から独立している。

中央銀行が独立した機関ならば、政府の言うように銀行券を無限に発行することはできない。中央銀行総裁はつねに毅然たる態度をとるか、政府の言いなりになるかの選択を迫られるのだが、政府の言いなりになれば、政府と中央銀行は一心同体であり、分離していると言えなくなる。

2/4 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数