コロナ禍で大赤字を計上するANAとJAL。巨額の公募増資で生き残りを図るが、コロナ後に向けた道のりは平坦ではない。
ANAが迎える正念場
「新しいビジネスモデルへの変革によって、感染症の再来にも耐えられる強靭なANAグループに生まれ変わりたい」
国内航空最大手の全日本空輸などを傘下に持つANAホールディングスの片野坂真哉社長は10月27日の会見でそう口火を切った。
ANAがこの日に発表した2020年4~9月期決算では、売上高は2918億円(前年同期比72.4%減)、営業利益は2809億円の赤字(前年同期は788億円の黒字)に終わった。4~9月累計の旅客数は国際線で前年同期比96.3%減の19万人、国内線で同79.8%減の467万人に沈み、売り上げの約7割を占める旅客事業が大苦戦した。
9月の旅客数も本格回復には程遠く、決算発表と同時に打ち出したのが事業構造改革だった。
最大のポイントは、ANAブランドの運航規模を縮小することだ。国際線は、都心部からのアクセスがよく競争力の高い羽田路線から徐々に再開する。もう1つの拠点である成田空港を発着する路線の再開ペースを落とすことで、全体の供給量を調整する。回復基調の国内線は、機材の小型化を前提に路線網の維持を目指す。
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