ファーウェイの自社開発路線に大打撃 米国の追加制裁発動後、半導体が供給不足

✎ 1〜 ✎ 38 ✎ 39 ✎ 40 ✎ 最新
拡大
縮小

「わが社が今秋発売するスマートフォン『Mate 40』は、自社開発の半導体『麒麟(Kirin)9000』を心臓部に搭載する。これがフラッグシップ向け麒麟シリーズの最終世代になるだろう」。中国の通信機器最大手、華為技術(ファーウェイ)のコンシューマー製品部門CEO(最高経営責任者)を務める余承東氏は、8月7日、ファーウェイの本拠地である広東省深圳市で開かれたフォーラムでそう述べた。

麒麟9000は世界最先端の5ナノメートルのプロセス技術を採用しており、ファーウェイはその生産をファウンドリー(半導体の受託製造会社)世界最大手の台湾積体電路製造(TSMC)に委託していた。ところが今年5月15日、米国政府がファーウェイに対する追加制裁を発動したのを受け、TSMCはファーウェイからの新規受注を停止した。

「ファーウェイは半導体の設計に専念し、製造は自ら手がけなかった。それゆえ9月15日以降はフラッグシップ向けチップを調達できなくなってしまった。これはわれわれにとって甚大な損失だ」(余氏)

同社は今年4~6月期に世界首位のスマホメーカーになった。だが、米国の追加制裁発動後、半導体の供給不足から生産が思うに任せなくなっている。今後の見通しについて余氏は、「2020年通期の出荷台数は19年の2億4000万台を下回る可能性がある」と語った。

(財新記者:屈慧、原文の配信は8月7日)

中国の独立系メディア「財新」の記事は東洋経済オンラインでも配信しています。
財新編集部

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内