動画配信大手を揺さぶる2つの事実 業績の先行きにも不透明感

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中国の動画配信大手の「愛奇芸」(iQIYI、アイチーイー)は8月13日、2020年4〜6月期決算を発表すると同時に、2つの事実を公表した。

1つ目として、同社が米証券取引委員会(SEC)の調査に協力している事実を初めて認めた。2つ目は、6月末時点の有料会員数が3月末時点より1400万人も減少したことである。これらを受けて、米国のナスダックに上場しているiQIYIのADR(米預託証券)は時間外取引で一時18%以上急落した。

同社に関しては今年4月、米国の投資会社ウルフパック・リサーチが「売上高や会員数を水増ししている」と告発する調査リポートを発表。iQIYIは「開示しているすべての財務および業務データは真実であり、SECの要件を満たしている」と疑惑を全面否定していた。

なお、4〜6月期の売上高は74億1200万元(約1141億円)と前年同期比4.25%増加、純損失は14億3800万元(約221億円)と同37.59%減少した。この業績自体は堅調だが、有料会員数はすでに天井を打ったとの見方が出ている。

さらにiQIYIのオンライン広告業務の売上高は4〜6月期は15億8600万元(約244億円)と前年同期比27.9%もの大幅減を記録した。SECの調査の行方だけでなく、7〜9月期以降の業績の先行きも不透明感が増している。

(財新記者:関聡、原文の配信は8月14日)

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財新編集部

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Caixin

2009年設立の財新は中国の経済メディアとして週刊誌やオンライン媒体を展開している。“独立、客観、公正”という原則を掲げた調査報道を行い、報道統制が厳しい中国で、世界を震撼させるスクープを連発。データ景気指数などの情報サービスも手がける。2019年末に東洋経済新報社と提携した。(新型肺炎 中国現地リポート「疫病都市」はこちらで読めます

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