ウイルスに冒される世界金融市場の危機 リーマン危機から現在の間に金融上の3つの神話が崩壊

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現在進行中の世界の金融市場の株価急落は強烈である。かのリーマンショックも顔色を失う勢いであり、まるで底が見えない。以前の金融危機と異なり、新型コロナウイルスと「金融のウイルス」がタッグを組んでいる。

顧みるに、金融危機が起こるたび金融上の神話は崩壊してきた。ここではリーマン危機から今日の危機に至るまでの「金融上の3つの神話」の顛末をたどる。

第1は米国の「住宅神話」。住宅市場が好調ならば、家を株になぞらえたホームエクイティー(保有住宅価値−ローン残高)はプラスとなる。ローンを貸し出す側は信用力の低い借り手がデフォルトしても、担保の住宅を差し押さえて売却すればローンを回収できる、という理屈である。

この神話のおかげで、米国の低所得者向けの住宅ローン(SPL)は信用リスクが高いはずなのに、これを基にした担保証券は安全、高利回りの金融商品としてまかり通った。

しかし、住宅ブームが崩壊しホームエクイティーのマイナス化が米国全土に広がると、SPLを原資産とした証券化商品の価格も暴落した。しかも証券化に証券化を重ねた金融商品だ。リスクの度合いや所在は格付け会社でも不明である。

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