3月になると大学生の就職活動が本格化する。この時期によく耳にするのが、「日本企業は学歴(大学名)とコミュ力(コミュニケーション能力)しか見ていない」ということだ。
その真偽とここでの「コミュ力」が何を指すかはとりあえずおいておくとして、社会的洞察力(他人の反応についての洞察力)、交渉力、協調力、調整力といった、「目標達成のために人とやり取りをする能力」は、近年、経済学でも注目度が上がっている。
ここではこの能力を「社会スキル」と呼び、近年注目が高まっている背景と、このスキルの育成に必要な観点について考えてみよう。
人間にとって、社会スキルはいつの時代も大事な能力であったはずだ。これが高ければ、さまざまな考えや知識を持つ人々と働くことが容易になり、新しいアイデアや解決策が生まれる可能性も高まる。
これまでは学習や問題解決に関わる知的能力、いわゆる「認知スキル」ばかりが注目されてきた。だが、技術進歩によりロボットや人工知能(AI)がこの認知スキルを代替しつつある。社会スキルは少なくとも今のところAIが身に付けるのは難しいと考えられているため、注目されているのだ。
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