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長期政権の末期で噴き出す現場感覚なき政策の矛盾 惨憺たる結末となった大学入学共通テスト改革

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英語民間試験問題でも露呈した政策立案の矛盾が政権を直撃する。

導入延期を決めた英語民間試験について国会で答弁する萩生田光一文科相(日刊現代/ アフロ)

「読む・書く・聞く・話す」という英語の4技能を問う大学入学共通テストに向けた改革は、惨憺(さんたん)たる結末となった。受験生の共通IDの申請受け付けを開始する予定であった当日の11月1日になって突然、民間試験導入延期を表明するという事態となったのである。関係各方面から深刻な問題を指摘する声が次々と出ていたにもかかわらず、このギリギリのタイミングで政権はようやく延期に踏み切った。ここには問題認識の甘さが表れている。

いかなる批判が出ようと改革を強行するかに見えた政権の潮目が変わった契機は、萩生田光一文部科学相の「身の丈に合わせて」英語民間試験を受ければよいという発言であった。これが、地方と低所得層を“上から目線”で軽んじていると広く受け取られたのである。しかも、内閣改造後、菅原一秀経済産業相、河井克行法務相が相次ぎ公職選挙法違反の疑惑で辞任し、内閣に対して有権者の厳しい視線が注がれていた。各紙は、政権が「もう持たない」と感じていたと報じている。いわば複数のダメージが、入試改革の中止という大きな後退を余儀なくさせたというのである。

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