積水ハウス地面師事件「調査報告書」封印の限界 大阪高裁は「自己利用文書」認定せず

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会社が極秘扱いにしてきた文書の開示をめぐり、裁判所が重要な判断を下した。

大型詐欺事件の舞台となった、東京・品川区の老舗旅館「海喜館」(写真中央)。一等地の開発用地として、不動産業界では垂涎の物件だった

大手住宅メーカーの積水ハウス(本社・大阪府)が地面師グループに約55億円をだまし取られた大型の詐欺事件。2年前の事件発覚後、同社は社外監査役らからなる調査対策委員会に「調査報告書」を作成させたが、2018年3月に公表したのは2ページ半の短い概要だけだった。そこで本誌は独自入手した調査報告書を基に、事件の見えざる真相を報じた(19年10月19日号)。

積水ハウスは現在も調査報告書の全容を明らかにしていない。だが、重要な動きがあった。大阪地方裁判所が11月1日、この報告書を開示すべきとの判断を下したのだ。

自己利用文書ではない

きっかけとなったのは、詐欺事件に対する積水ハウスの阿部俊則会長(事件当時、社長)や稲垣士郎副会長(同、副社長)らの責任を追及するため、個人株主が昨年5月に起こした株主代表訴訟だ。本件の土地取引で支払ったうち、被害額の約55億円を会社に支払うよう求めた。

そして、原告の個人株主は同年12月、調査報告書を裁判所に提出するよう積水ハウスに求める申し立てを行った。「公表されておらず、一株主にすぎない原告には、その現物や写しを目にすることすらかなわない文書である。会社がこれらの基礎資料を隠蔽すれば、一株主としては証拠収集が不可能となる」という論拠からだ。

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