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豊田家のルーツ 「豊田章男 100年の孤独」 第28回

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(撮影:風間仁一郎)

「今になって、やっぱり豊田の名前がいいと思う」

豊田章男は、ルーツを大切にする。

「小さい頃は、名前が負担でした。小中学生の頃は、『どうせ社長の息子』『豊田の名前があるからできる』といわれ続け、自分自身を見てほしいと思っていました」

とは、彼の言葉で、次のように続く。

「ただ、今になって、『ほかの名前で人生をやり直しますか』といわれたら、やっぱりこの名前がいいと思います」

心境の変化には、人知れぬ葛藤があった。今の彼は、豊田の名前での人生を完全に受け入れ、肯定的に捉えている。

彼の人生には、望むと望まざるとにかかわらず、豊田の名前が大きな影響を与えてきた。彼を知るには、豊田家を知らなければならない。豊田家なくしてトヨタはなく、章男もない。そのルーツをたどってみよう。

トヨタグループの始まりは、静岡県だ。

2019年8月、私は湖西市山口にある豊田佐吉記念館を訪れた。東海道新幹線を浜松駅で降り、浜名湖を眺めつつ車で約45分。豊田佐吉記念館は、青葉の茂る裏山を背に立ち、門の前には、色づき始めた田が一面に広がっていた。人通りは少なかった。

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