将来の年金給付の底上げで切り札になる繰り下げ受給。あなたにとって最適の選択はどうなるか。制度を見極めよう。
公的年金(国民年金・厚生年金保険)については、マスメディアによる否定的な報道が引きも切らない。しかし筆者は、老後生活における収入の柱としての公的年金の優位性が揺らぐことはないと考えている。
なぜなら、公的年金の最大の機能は終身給付(終身年金)の提供にあるからだ。すなわち、いったん受け取りを開始したら、死ぬまで受け取り続けることができるという点だ。
終身給付は、保険集団内でのリスク移転を前提に制度設計されている。不幸にして早期に亡くなった者の原資を長生きする者へ移転する仕組みである。民間の終身保険には長生きする自信のある層がこぞって加入する。これに対し、長生きする可能性が高い者もそうでない者もまとめて強制加入させる公的年金のほうが、終身給付の提供主体としては、はるかに効率的なのである。
また、わが国の公的年金はマクロ経済スライドの導入などにより制度の持続可能性が確保されている。
ただし、「人生100年時代」を迎えて、給付水準の長期的な低下は避けられない。こうした中で、自助努力による老後の資産形成ばかりが注目されているが、安定的な給付を期待できる終身給付の厚みをいかに増すかも、老後の生活設計を考えるうえでは重要な論点だ。
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