大震災から8年後の現実 自宅が残った被災者も苦悩
被災した自宅の修繕がまだ終わらない。「在宅被災者」たちの実情とは。
2011年3月に起きた東日本大震災。最大規模の住宅被害が発生した宮城県では、自宅を失った被災者の終(つい)の住処(すみか)となる災害公営住宅の建設が今年3月に完了した。震災復興は福島の原発事故問題を除き、総仕上げに近づきつつあるかに見える。
だが、震災発生から8年を経てもなお、住宅の修繕(補修)をいまだに終えることができない被災者の存在が浮かび上がってきた。仙台市の18年度調査によると、固定資産税の減免対象となっている未修繕(一部修繕済みを含む)の家屋が市内で約1万棟に上ることが判明。石巻市でも同様の家屋が約4500棟ある(16年度の調査)。
仙台市郊外で暮らす菅沢啓子さん(67)は、そうした被災者の一人だ。8年前のあの日、菅沢さんの自宅は大きな揺れに襲われた。築40年以上の住宅は屋根が傷んで雨漏りがひどくなり、修繕に800万円も費やした。しかし、多くの柱に亀裂が入ったままで、いまだに修繕できていない箇所が多い。
この記事は会員限定です。登録すると続きをお読み頂けます。
東洋経済ID 会員特典
東洋経済IDにご登録いただくと、無料会員限定記事を閲覧できるほか、記事のブックマークや著者フォロー機能、キャンペーン応募などの会員限定機能や特典をご利用いただけます。
東洋経済IDについての詳細はこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら