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近づく「復興バブル」終焉 被災地の建設業は正念場へ

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東日本大震災の復興特需に沸いた建設業界。だが、うたげの終わりは近い。

本誌 一井 純
写真:復興工事が本格化した当時の風景。人手が足りず、全国から業者が大挙して押し寄せた

3月16日、宮城県気仙沼市の魚市場の竣工を記念する式典が開かれた。魚市場は2011年に起きた東日本大震災の津波で建屋や設備がほぼ全壊。16年から本格再建が始まり、ようやくこの日に全面再建を果たした。建設の一部を担ったのは、地元大手の小野良組だ。

空前の復興バブル

「震災後は本当に忙しかった。がれき処理から復興住宅の建築、港の再建まで手が回らないほどの工事の発注が舞い込んだ。通常1年かける工事を10カ月で仕上げたこともあった。人手もまったく足りず、九州や北陸から職人を手配したくらいだ」。小野良組の小泉進社長は復興工事が全盛だった頃を思い起こす。「今は復興工事が終盤にさしかかり、仕事が途切れてきた同業者もいる」。

震災発生まで東北の建設業は冷え込んでいた。「本当に仕事がなかった。民間工事はもちろん、公共工事も予算が削られ、少ない案件を赤字覚悟で奪い合った」。現地の建設業者は異口同音に当時の様子をそう振り返る。

11年3月11日に発生した震災は、そんな状況を一変させた。被害が甚大だっただけに復興工事も未曾有の規模となり、宮城県の予算(震災対応分)は、11年度から18年度までの合計で5.7兆円にも上った。

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