現地メーカーが席巻する中国市場で、社運を懸けた再挑戦が始まる。
まだ肌寒い3月中旬の上海。アジア最大級の家電展示会「AWE」の会場には、IoT製品であることを示す「智能(スマート)」の文字が躍っていた。外資系から現地勢まで約600社が出展する同展示会では、テレビや冷蔵庫、洗濯機がネット接続可能なのはもはや当たり前、キッチンの換気扇や豆乳メーカーなどの調理家電までがIoT製品として打ち出されていた。その中で、現地勢に劣らずユニークな展示をしていたのがパナソニックだ。
「中国で勝てなければ今後生き残れない」
便座に腰を下ろすと、内蔵された体脂肪計が測定を開始。手すりに収納されたスティックで尿検査を済ませると、洗面所のデジタルミラー上に測定結果が表示される。「尿酸値が高めだな。少しお酒を控えよう」。顔を洗いながら生活習慣の見直しを決意した──。
まるでSF小説に出てくるようなハイテク生活だが、このトイレとミラーはすでに中国で売られている(セットで約70万円、下写真)。販売元は、中国では「松下電器」として事業を展開するパナソニックだ。それ以外にも、透明有機ELテレビや自動洗濯物畳み機、約7万円の中国限定の美容ドライヤーや独ポルシェのデザイン事務所とコラボしたIoT洗濯機など、日本で見たことのないものばかり。ほとんどが中国国内で企画・開発されているからだ。
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