有料会員限定

労働者の能力向上へ 英国から学ぶ教訓 強制的に訓練する制度を導入

✎ 1 ✎ 2 ✎ 3 ✎ 4 ✎ 最新
拡大
縮小
さまざまな学び直しの制度がある英国

特集「衰退か?再興か?日本の生存戦略」の他の記事を読む

日本の生産性向上のために重要なのが人材育成だ。日本生産性本部によると、日本の人材育成投資は1990年代前半に約2.5兆円あったものが、年々減り続けており、2010年以降は約0.5兆円と低迷している。対GDP比で見ても、米国の2.1%、英国の1.1%に対し、日本は0.1%にすぎない。

日本の人材育成投資を増やすにはどうすればいいのか。参考になるのが英国だ。

英国政府は16年に「アプレンティスシップレヴィ」を導入した。直訳すると「見習い訓練の負担金」。企業に対し、半ば強制的に社員の訓練を実施させる制度だ。

年間人件費300万ポンド以上の企業から、政府は負担金を毎月徴収し、企業ごとに設けられた口座に貯めておく。負担金が徴収されてから2年以内に企業が労働者に対してトレーニングを行えば、口座から費用が支払われる。その時に、口座のお金には政府が10%上乗せする。つまり負担金を1ポンド支払うと、1.1ポンド分使える仕組みだ。2年を超えて口座のお金が使われなければ失効してしまうため、企業がトレーニングを実施する動機になる。なお年間人件費300万ポンド以下の企業の場合、トレーニング費用を1割負担し、残りは国が支払う。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内