カネボウなど多くの企業再生に携わってきた冨山和彦・経営共創基盤CEO(最高経営責任者)は、生産性向上の重要性を説く論者の一人だ。中でも、国内雇用の過半を抱えるローカル型産業での生産性向上が欠かせないと強調する。
──日本経済が持続的に成長していくには、生産性の向上が必要だと以前から指摘してきました。
とくに観光、農林水産、地方公共交通機関、介護などローカル型産業の生産性を高めて、賃金を上げていかないといけない。
成熟した先進国では労働生産性が最も大事な指標であり、GDP(国内総生産)の伸びよりもはるかに重要だ。とくに1時間当たり賃金と年収の2つをベンチマークにしておけば、経済政策はうまくいく。最低賃金も(時給)1500円に引き上げたらいいし、払えない企業は廃業してもらえばいい。
──ローカル型産業が生産性を上げるには何をすべきですか。
問題は2つある。1つは中小企業の数が多すぎて価格競争に突入してしまう点。もう1つは経営者の人材の質にばらつきが多い点。
そこで必要となるのがコンソリデーション(整理統合)だ。これを行う際のポイントは、「規模の経済性」より「密度の経済性」を働かせることだ。密度とは地域内シェアのことで、これを高くしないと経済的に効率化できない。経済が縮む中では、優秀な経営者の下に密度を高める形で事業を集約していくべきだ。
──独占禁止法上の問題にはならない?
公正取引委員会が「地域内シェアが高くなるのはけしからん」と言うのはとんちんかん。ある事業者の地域内シェアが高まることで消費者が被る不利益と、従業員の賃金上昇による利益を比べたら、後者のほうがはるかに大きく、地域経済へのメリットがある。
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