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「いま中国は改革開放以後、空前の危機に直面している」というのが、2018年に中国人から何度も聞かされたフレーズである。理由は、「新冷戦」とまで形容されるようになった米中の戦略的対立の激化である。
特に、米国が中国からの輸入品に報復関税措置を取る「貿易戦争」が中国に与えた衝撃は大きい。上海株式市場は18年8月には年初から10%を超す下落で、時価総額第2位の座を東京市場に明け渡した。人民元の対ドルレートも18年10月に10年ぶりの安値を記録した。人民元を買い支えるため、中国が外貨準備をかなり取り崩していることも明らかだ。中国経済を楽観できないという「市場の審判」はすでに下りている。
さらに大きな問題は、中国の構造改革に遅れが出る可能性である。「ポスト社会主義権威主義体制」の国家である中国は、公有制と計画経済という「社会主義のしっぽ」を抱え込んでいる。国有企業の多くは経営が非効率であり、08年のリーマンショック以降に膨らんだ過剰生産能力や過剰負債を整理する必要がある。そして貿易や投資・建設から消費に、国有企業から民営企業に、成長の中心を移さなければならない。
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