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南北と経済 二兎の難しさ 韓国

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徴用工をめぐる韓国での司法判断が日韓関係を複雑にした(Lee Jae-Won/アフロ)

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11年ぶりの南北首脳会談を果たし、北朝鮮の平壌(ピョンヤン)を訪問。南北和解へ力を入れている韓国の文在寅(ムンジェイン)大統領。さらには史上初の米朝首脳会談の仲立ちもした功績に、一時期「ノーベル平和賞受賞」との下馬評も出たほどだ。だが文政権にとっての2019年は、内政、外交ともに難しい政権運営が続く。

対米、対北朝鮮の関係を重視し日本との緊張をいとわなかった韓国外交。ところが18年後半はこれらの国との関係改善がそれほど進展しなかった。最近では韓国外交は袋小路に入っている印象さえある。

日韓での大きな懸案は、もちろん徴用工と慰安婦の問題だ。

1965年の日韓基本条約では、植民地時代の徴用工に対する補償を韓国政府が行うことと規定されていた。しかし韓国の大法院(最高裁判所)は個人の請求権を認め、新日鉄住金など日本企業が元徴用工に賠償金を払うよう命じた。

日本でも韓国人、中国人による同様の訴訟があったが、日本の裁判所は日韓基本条約によって個人の賠償請求権は消滅しているとして、被告企業の支払いを否定してきた。今回の韓国側の判決で、日韓の司法が同じ問題で違う判決を出したことになり、新たな混乱が生じている。

慰安婦問題については、15年に朴槿恵(パククネ)政権と安倍晋三政権との合意によって設立された「和解・癒やし財団」の解散が発表された。財団設立の際には、日本政府は10億円を拠出し、生存している慰安婦の7割にすでに見舞金が支払われた。

外交が強硬派に引きずられる

財団の解散理由について、韓国側は「現実に合わない」「慰安婦からの反発」を理由に挙げている。だが日本側には、文政権が韓国内の対日強硬派に引きずられ、安易に財団解散を認めたのではとの見方がある。朴時代の外交上の成果を否定しようとするあまり、稚拙な措置を取っている印象はぬぐえない。

対日強硬姿勢が目立つ韓国外交だが、その背景として、大統領府の要職を占めるスタッフは80年代以降の学生運動出身者が多く、親北朝鮮・反米の考えが強いことがある。日本は帝国主義の時代を反省しない、道義にもとる国とのイメージを持っている。歴史において韓国は被害者であり、その解決策を強く求めることに何らの躊躇もしない。

日本の外交関係者の間には、実は文大統領は徴用工や慰安婦問題にはそれほど関心がない、という見方があった。大統領就任後、この問題をリードする市民団体と直接話をしたことがないのが根拠の一つだった。ところが12月14日、文大統領は大法院の判断を尊重する意向を表明した。

ただし日本側には、文大統領は北朝鮮との関係改善や韓国経済の立て直しについて、日本と多くの協力をしたがっているはずとの観測が根強い。

北朝鮮の非核化と経済協力を韓国だけで行うには資金が不十分であり、周辺国の支援が必要だ。また、経済活性化を打ち出して当選した文大統領だが、若年層の失業率の高さは深刻で10%台が続いている。OECD(経済協力開発機構)によると18年の韓国の経済成長率は2.7%の予想だが、19年はこれを下回ると予想するエコノミストは少なくない。

北朝鮮の非核化もスムーズには進む状況ではなく、自国経済の回復も思うようにいかない。17年5月に就任した文大統領の任期は3年半。19年は早々にレームダック化する可能性もある。

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