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2019年のユーロ圏経済は、景気変調に対する不安と政治安定のほころびが同時に表面化するおそれがある。
欧州債務危機(10~12年)による厳しい構造調整を終えた欧州各国は過去数年、危機時に見送られた設備投資や失われた雇用の回復の過程で、潜在成長率を上回る高成長を遂げてきた。
最悪期に12%超に達したユーロ圏の失業率は、18年10月に約10年ぶりの6.7%にまで低下。長らく低空飛行を続けてきた賃金も上昇が加速して、雇用・所得環境の好転が内需の回復を後押ししている。
債務危機の克服による金融市場の安定と、ECB(欧州中央銀行)による大胆な金融緩和が奏功し、金融環境も劇的に改善した。そこに世界的な景気拡大とユーロ高抑制による輸出拡大も加わり、ユーロ圏の景気回復は6年目を迎えている。
景気後退を免れるか 19年は正念場
だが、順調な景気拡大を支えてきた歯車のいくつかは、徐々に、だが着実に逆回転を始めている。ECBは18年末で新規の資産買い入れによる資金供給を終了、マイナス圏にある政策金利の引き上げ開始に向けた地ならしを始めている。一方、米中貿易摩擦は世界景気の減速と企業景況感の悪化を通じて、欧州景気にも影を落としている。
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