パナソニックでは「経理は経営の羅針盤」で、経営の進むべき方向を示す役割を担えとたたき込まれました。また、筆者が仕えたCFOは「CFOの役割はチーフ・フォーカス・オフィサー」と常々言っておられました。あまりに目指すものが多いと、本当に大事なものが見えなくなります。「ここを目指せ」とわかりやすく優先順位を示し、フォーカスさせることがとても大事です。あるいは「ここに課題がある」とアテンションを高めることが必要です。
ところが、入社した直後のグリーの印象は「まるで映画館入場直後の、真っ暗で何も見えない」状態でした。
全社のB/S P/Lはありましたが、年率2.5倍という急成長のスピードに管理が追いついておらず、丼(どんぶり)勘定で実態がまったくわかりませんでした。これでは羅針盤の機能を果たしようがありませんし、フォーカスさせるべきポイントもわかりません。
信賞必罰につなぐ
創業者である松下幸之助の教えのひとつに、「経営にとって大事なことは信賞必罰」があります。それを支える仕組みが、予算による「適正な経営目標の設定」とそれに対する「成果の見える化」です。
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