不人気、不遇、不祥事──。スキャンダルにまみれる霞が関。政策を担うエリートたちは政権への忖度(そんたく)と官僚ムラの掟(おきて)でがんじがらめだ。悩める官僚の実態に迫った。
官僚に襲いかかる三重苦
没落する忖度エリートの悲哀
忖度という言葉がこれほど人口に膾炙(かいしゃ)した年はないだろう。国会に呼ばれ森友学園や加計学園の問題で苦しい答弁を行う幹部官僚の様子が幾度となくテレビに映し出された。今、霞が関の“官僚ムラ”を襲うのは、不人気、不遇、不祥事の三重苦だ。
人事院によると、今月末に合格者が発表されるキャリア試験(総合職)の応募者数は2万人を割り、約半世紀ぶりの少なさを記録した。かつてとは違い「東大を中心として優秀な層が官僚を志望しない」と、幹部ポストを歴任した官僚OBは指摘する。東大生の人気職種は民間のコンサルティング会社や商社など(→関連記事へ)。今や優秀な学生は就職活動をせずに起業する時代。官僚不人気に歯止めがかかりそうにない。
30代で手取り30万円台 統計に出ない大量残業
キャリアと呼ばれる「官僚中の官僚」は、全公務員の0.5%という限られた層だ。ノンキャリと呼ばれる大半の官僚を採用する一般職試験よりも難易度の高い、総合職試験を突破したキャリア官僚は各省庁で国を動かす政策を立案する。海外留学や大使館勤務などのチャンスも多く、中には政治家に転身する者もいる。約27万人の全官僚のうち、キャリア官僚は約1万6000人しかおらず、ノンキャリに比べてその扱いは別格。課長ポストの9割弱をキャリアが占め、出世もノンキャリより約10年早い。
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