経済に関心のある人にとって、完全失業者や就業者といった労働力の概念はなじみのあるものだろう。実際、完全失業率の数字は大きく報道される。しかし、それほど知られていないが、近年増大している労働力状態の区分がある。それは、就業は継続しているが、少なくとも調査期間の月末1週間は働いていない労働者だ。まとまった期間、さまざまな理由で仕事を休んでいる人のことで、休業者と呼ばれている。
この休業者が、近年増加傾向にある。2017年平均の休業者数は151万人で、完全失業者数の190万人にほぼ匹敵する。しかも完全失業者数が減少傾向をたどっているのに対して、休業者数は07年と比べて39万人も増大している。就業者数に占める割合も、1.7%から2.3%へ顕著に上昇している。
実は、リーマンショック後の09年に休業者数は前年比で15万人も増えた。これは、企業が雇用調整助成金等の制度を用いて雇用者の一時帰休を進めたからだ。しかし、不況から回復した後も休業者数は趨勢的に増えている。
その理由は明確だ。最大の要因は育児休業を取得する女性が増えたこと。加えて、育児休業を取得した人の休業期間が全般的に伸びた。高齢者の増加が休業者数を増やした点も無視できない。とりわけ65歳を超える労働者は健康リスクにさらされやすい。
これから就業者の高齢化が進んでいく以上、休業者が増えていく可能性は高い。特に中高年者が「がん」などの疾患を抱えながら仕事を続けることが増えていくと予想され、政府はそのためのガイドラインを整備しつつある。介護休業が増加し、男性の育児休業取得率も徐々にではあるが高まっている。つまり、今後の日本社会は、企業などの組織が多数の休業者を抱える「休業社会」になっていくものと予想される。
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