鴻海精密工業の子会社が上海市場に快速上場するなど、ユニコーン企業の囲い込みの動きが進んでいる。背景には最高指導部の強い意向が見え隠れする。
企業価値が10億ドルを超える未上場企業、いわゆるユニコーン企業や海外で上場する大手IT企業を、政府主導で国内株式市場に囲い込もうという動きが加速している。
3月8日、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の子会社で、深セン市で設立された富士康工業互聯網(FII)は、上海市場での株式新規公開(IPO)の申請が承認されたと報道された。順調にいけば、この4月に、時価総額3400億元(1元=約17円)といわれる中国最大の上場企業が誕生することとなる。
ただし、市場関係者に注目されたのは企業規模より、その上場審査の速さだった。2月1日に正式申請を行ってから批准までわずか36日間、春節(旧正月)の大型休暇を除けば、わずか20営業日で審査を終えたのだ。通常の上場審査プロセスが平均600~700日間であることを考えると、その神業ともいえる速さがわかる。
異例ぶりは上場審査基準に関する変則的な対応にも表れている。2016年に改正された上場規則は、上場審査対象企業に「3年以上の継続的経営期間」を要求している。FIIの前身は15年3月に設立された福匠科技有限公司。会社設立から上場申請まで33カ月の社歴しかないが、国務院の特別批准により基準をクリアした。
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