有料会員限定

最高指導部の大号令 ユニコーンを囲い込め

✎ 1〜 ✎ 158 ✎ 159 ✎ 160 ✎ 最新
拡大
縮小

鴻海精密工業の子会社が上海市場に快速上場するなど、ユニコーン企業の囲い込みの動きが進んでいる。背景には最高指導部の強い意向が見え隠れする。

上海市場に上場予定の富士康工業互聯網は鴻海の子会社。中国最大の時価総額になるとみられる(EPA=時事)

企業価値が10億ドルを超える未上場企業、いわゆるユニコーン企業や海外で上場する大手IT企業を、政府主導で国内株式市場に囲い込もうという動きが加速している。

3月8日、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の子会社で、深セン市で設立された富士康工業互聯網(FII)は、上海市場での株式新規公開(IPO)の申請が承認されたと報道された。順調にいけば、この4月に、時価総額3400億元(1元=約17円)といわれる中国最大の上場企業が誕生することとなる。

ただし、市場関係者に注目されたのは企業規模より、その上場審査の速さだった。2月1日に正式申請を行ってから批准までわずか36日間、春節(旧正月)の大型休暇を除けば、わずか20営業日で審査を終えたのだ。通常の上場審査プロセスが平均600~700日間であることを考えると、その神業ともいえる速さがわかる。

異例ぶりは上場審査基準に関する変則的な対応にも表れている。2016年に改正された上場規則は、上場審査対象企業に「3年以上の継続的経営期間」を要求している。FIIの前身は15年3月に設立された福匠科技有限公司。会社設立から上場申請まで33カ月の社歴しかないが、国務院の特別批准により基準をクリアした。

関連記事
トピックボードAD
連載一覧
連載一覧はこちら
トレンドライブラリーAD
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT
有料法人プランのご案内