米国戦後保守思想の原点であるカークはマルクスをどう読み解いたのか。自由主義が混迷する今の時代にこそ、考察する意義がある。
米国戦後保守主義の原点となった思想家ラッセル・カークの生誕から今年でちょうど100年となる。筆者は、1994年に亡くなる前の3年ほど交流を持った。その縁で、今も健在のアネット夫人をはじめ、遺族と四半世紀にわたり交流を続けている。
カークは30歳代半ばで大学の職を辞し、ミシガン州の奥深くの人口400人ほどの郷里メコスタ村に戻り、在野の思想家として生涯を終えた。戦後すぐに英国に留学し近代保守思想の始祖エドマンド・バークを研究。英米でバーク思想が継承されていく軌跡を現代まで追った主著『保守主義の精神』(53年)はカーク存命中に7回改訂され、今でも読み継がれている。
前回(1月20日号)論じたように、ポピュリズムとナショナリズムの高揚を受けてトランプ政権が誕生し、これまでの保守・リベラルの対決の構図が崩れ、思想の再編を迫る状況が生まれている。
トランプ時代の政治思想を構築しようと、1年前に気鋭の若手保守派論客たちが新しい季刊論壇誌『アメリカン・アフェアーズ』を創刊した。32歳のジュリアス・クレイン編集長は、創刊に当たり「これまでの保守・リベラルのイデオロギーはまったく用をなさない」と思想の再生を呼びかけた。
この記事は有料会員限定です。
東洋経済オンライン有料会員にご登録いただくと、有料会員限定記事を含むすべての記事と、『週刊東洋経済』電子版をお読みいただけます。
- 有料会員限定記事を含むすべての記事が読める
- 『週刊東洋経済』電子版の最新号とバックナンバーが読み放題
- 有料会員限定メールマガジンをお届け
- 各種イベント・セミナーご優待
無料会員登録はこちら
ログインはこちら