
変貌を遂げたJR中野駅前。中野区では若いファミリー層が増えている(pretty world / PIXTA)
「東京一極集中の時代」といわれる。しかし、駅から少し視線を離し、東京23区の人の動きを見ると、人口移動はまだら模様であることがわかる。
2015年の国勢調査によると、東京23区で5年前比の人口増加率がいちばん高いのは千代田区。以下、港区、中央区と続いている。多少の順位変動はあるが、都心3区が人口増加率の上位を占めるのは、今世紀に入って以降変わっていない。「都心で人口が増えるのは当たり前」と若い人たちは感じるだろうが、年配世代にはすんなりとは納得できないのではないか。年配グループに属する筆者も、子どもの頃は、「都市はドーナツ化するもの」と教えられてきた。昔は都心がドーナツの芯であり、「人口が減るのが当たり前」だったのだ。
実際、1955年〜95年まで、都心3区の人口は半分以下に減り続けた。都心はビジネスや商業活動の集積地だが、人が住む場所ではないというのが「常識」だった。そんな都心の人口が増え始めたのは90年代後半。今世紀に入り、その傾向に拍車がかかっている。
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