昨年上場を果たしたJR九州。ダイナミックな事業展開の裏話はもとより、次々と壁を突破してきた著者の人となり、周囲を盛り立てる「気」のようなものが生き生きと伝わってくる。洒脱な語り口も魅力。ビジネス本にしてワンダーランドを旅するような、楽しさに満ちた一冊だ。
──今回も御自身で執筆。テンポよく笑わせつつ胸に迫る箇所もあり、プロ顔負けの筆力ですね。
んー、なかなかのもんですな。ねえ(笑)。
──上場までの道のり、丸井への出向、博多─釜山(プサン)間高速船「ビートル」就航、外食事業の再建、農業参入ほか内容てんこ盛りです。
国鉄民営化直後の若い頃に丸井で学んだことが、僕の強烈な土台になった。今の自分があるのは外食事業、ビートル、そして丸井で学んだことが3分の1ずつ。それほど大きな先生です。丸井での経験は三つのカルチャーショックでした。当時の意識はまだまだ国鉄マン。その国鉄と民間とのものすごい落差。頑固でお堅い鉄道業と生き馬の目を抜く流通業の差。そして当時は本社が門司だったから、仕事のテンポ、人のアンテナの高さが東京と全然違ったのね。
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