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2大政党は見果てぬ夢か 野党議員の仕事は別の対抗軸を作ること

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8 月に死去した羽田孜氏の首相在任期間は、1994年のわずか64日間という短かさだった。非自民連立政権から社会党が離脱してしまい少数与党の立場。政権は不安定で、これといった業績も残せなかったが、歴史に残る一つの決断があった。

自民党が内閣不信任案を提出し揺さぶりをかける中、羽田氏には衆院解散・総選挙で対抗する手段があったが、内閣総辞職を選択した。当時、衆院に小選挙区制を導入する政治改革関連法が成立していたが、選挙区の区割りは定まっていなかった。

仮に解散に踏み切れば、政権が存続する可能性は残ったが、小選挙区制は棚上げとなり、それまでの中選挙区制での総選挙が実施される。政治改革は先送りになる可能性が大きかった。羽田氏の決断は小選挙区制の実現に大きく貢献した。

羽田氏らが小選挙区制を推進したのは、政権交代が比較的容易な制度であり、自民党に対抗できる勢力ができれば、政治に緊張感が生まれてくるという理由からだった。実際、小選挙区制の総選挙は96年から2014年まで計7回行われ、09年、12年には政権交代が実現している。

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