学生運動に明け暮れ、母校をバリケード封鎖して逮捕され、退学となった後、アニメの世界に入り『ガンダム』の生みの親の一人に。海外でも著名な漫画家・アニメーターの安彦良和氏がその人生を自叙伝にまとめた。
──激動の経歴です。
逮捕歴のある学生運動家は、当時ゴマンといた。普通の就職活動はできず、サブカルチャーの世界に逃げた人も少なくはない。自分もそんな珍しくない一人だった。
革命は起こせると思っていた。資本主義に対し、世界的な規模で若者が異を唱えている。僕らも少数派ではない、と。しかし母校を封鎖したところで何も変わらなかった。退学処分を受け、失意の中で何か稼ぐ手段を探していたら、アニメスタジオの「養成所員募集」の広告が目に入った。中学・高校時代には漫画家を目指していたから、高校時代に描いた大学ノート2冊分の漫画を持参して、採用試験を受けたら通っちゃった。1970年の秋だった。
正義の戦争はない。人はどこまでも人
──夢を追ってではなく、食いつなぐためにですか。
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