1980年代の名古屋は、円高不況に五輪誘致失敗が重なり、「暗黒の時代」だった。タモリにテレビでのネタにされて、全国から笑いものにされたこともあった。ところが、2000年代になると愛知万博の開催に加え、中部国際空港の開港と東海環状自動車道の開通という「3大プロジェクト」が地域経済に貢献。さらに、トヨタ自動車の快走もあり、経済が大きく成長。全国メディアは手のひらを返したように、「元気な名古屋」ともてはやした。
その後も名古屋経済は順調だ。リーマンショックで一時的に落ち込んだが、すぐに回復(図表1)。3大都市で安定して所得水準が上昇しているのは、東京と愛知だけだ(図表2)。
日本が貿易で稼ぐ国とはいえなくなってきた今日でも、名古屋だけは孤軍奮闘し、巨額の貿易黒字を稼ぎ出す。牽引役は自動車産業で、昨年に名古屋税関管内から輸出された自動車は約8兆円(部品含む)と管内輸出総額の半数近くを占める(図表3)。ただ、国内乗用車生産に占める愛知県のシェアは、国内生産台数がピークだった90年に比べると半減している。トヨタが九州や東北へ生産をシフトしているためだ(図表4)。
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