2016年は世界中で、移民に対する関心が高まった年だった。英国のEU(欧州連合)離脱決定の背景には、東欧のEU諸国からの移民への反感がある。米国の次期大統領トランプ氏は、選挙戦を通じて反移民の姿勢を打ち出し、白人中間層の支持を得た。来年予定されている欧州各国の選挙でも、移民問題は重要な争点になりそうだ。
日本は欧米先進国と比べ、人口に占める外国人の割合が1.7%と極めて低く(図表1)、欧米のように移民問題が直ちに国を揺るがす大問題になるとは考えにくい。とはいえ、これから急激な人口減少が見込まれており、外国人労働者を活用すべきとの議論が本格化している。
二転三転する日本の外国人受け入れ方針
日本はそもそも外国人労働者の受け入れには消極的な姿勢を取ってきた。1990年の入国管理法改正をきっかけに日系ブラジル人などの日系人が流入したが、彼らは定住者という在留資格で受け入れられた。就労に対する制限がないため、事実上の外国人労働者として製造業など基幹産業に従事することとなった。
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