腰痛に悩む人は実に多い。厚生労働省の調査によると、日本人の10人に1人が腰痛の自覚症状を訴えているという(「平成25年 国民生活基礎調査の概況」)。痛みから逃れようと、いろいろ試してきた人は多いと思うが、実はここ数年で腰痛に対する考え方が大きく変わってきている。それを知っておくだけでも気持ちが楽になるだろう。いわば知って得する「腰痛の新常識」だ。
まず腰痛に対処するうえでの大前提となる新常識(1)は、腰痛のほとんどが「原因不明」ということだ。脊椎や骨盤の歪み、それらの関節の炎症、筋肉疲労の蓄積等々、さまざまな説が唱えられているが、CT(コンピュータ断層撮影)やMRI(磁気共鳴断層撮影)などの画像には写らないので、本当のことはよくわかっていない。
脊椎のクッションがはみ出る椎間板ヘルニアや、脊髄の通り道が狭くなる脊柱管狭窄(きょうさく)症など、腰の神経が圧迫されて痛みが出る病気では、画像上異常がないのに症状が出る人もいれば、異常があるのに症状のない人もいる。明確に原因がわかる腰痛は15%ほどで、残りの85%は特定できないのだ。この原因不明の腰痛を専門家は「非特異的腰痛」と呼んでいる。
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