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共和党の泡沫候補だったトランプ候補の素顔 平成時代の皇室外交を鮮やかに活写した1冊

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トランプ
トランプ(文藝春秋/541ページ)書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします。
Michael Kranish●米ワシントン・ポスト紙の調査報道記者。米ボストン・グローブ紙による大統領候補者の人物記「John F. Kerry」「The Real Romney」の共同筆者。
Marc Fisher●米ワシントン・ポスト紙のシニアエディター。30年以上同紙に在籍し、ベルリン支局長などを歴任。執筆記事がピュリッツァー賞を受賞している。

ナイーブな判断が不可能な素顔を教える

評者 東洋英和女学院大学客員教授 中岡 望

ドナルド・トランプ氏の米国大統領選挙での当選は大きな驚きをもって受け止められた。半ば冗談気味に語られていたことが現実となった。本書が指摘する「現代アメリカ史上最もその素顔を知られていない大統領候補」が新大統領に就任することになった。

これから選挙分析が行われるだろう。白人労働者の深刻な雇用問題、不法移民問題、ポピュリズムの台頭、テロの脅威などさまざまな要因が語られている。だが今回の大統領選の予想外の結果は偶発的なものではないのかもしれない。昨年出版された『White Backlash(白人の反逆)』は、米国社会が右傾化する状況を鮮やかに分析している。その分析が、社会的孤立感と焦燥感を強める白人たちがトランプ氏の「白人優越主義」と「反移民主義」の主張に魅せられていく様子と見事に重なり合う。

本書はワシントン・ポスト紙の取材班が総力を挙げて3カ月で書き上げたものだ。膨大な数のインタビューと文書を緻密に分析することで、「素顔」を見事に描き出している。米国で原書が出版されたのは8月23日、大統領選前である。同氏の当選で本書の持つ意味はさらに大きくなった。今後の米国の政治を予想するうえで、同氏がいかにして巨万の富を築き、何を思って大統領選に立候補したのかを知ることが有用だからだ。

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