夏休みが明けて国際会議が続いている。安倍晋三首相も東方経済フォーラム(ロシア・ウラジオストク)、G20(主要20カ国・地域)首脳会議(中国・杭州)、ASEAN(東南アジア諸国連合)関連首脳会議(ラオス・ビエンチャン)に相次いで出席。9月下旬には国連総会(米国・ニューヨーク)で演説する。一連の会合で大きなテーマとなっているのが、中国と北朝鮮だ。
中国は南シナ海などへの海洋進出の動きを強めている。北朝鮮は核ミサイル開発を進め、9月9日には5回目の核実験を強行した。いずれも国際社会からの批判を浴びているが、姿勢を改める様子はない。東アジアでの米国の影響力が低下する中で、中国と北朝鮮をめぐる問題はどう推移していくのか、考えてみたい。
東方経済フォーラムでロシアのプーチン大統領と会談した安倍首相は、「平和条約について突っ込んだ話し合いができた」などと述べた。安倍首相がロシアとの関係改善を急ぐ理由の一つが、台頭する中国への牽制だ。中国は経済力と軍事力を背景に東アジアで影響力を拡大し、南シナ海の岩礁埋め立てや基地化を進めている。これを米国とともに抑え込むには、ロシアとの協力が欠かせない。そのためには、北方領土問題にメドをつけて平和条約を締結する必要がある。安倍首相は、そうした地政学的な判断をしているようだ。
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