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コマツ、新興国で苦戦 円高で北米も反落へ 連続減益、需要も3年間"ゼロ成長"見込む

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最近は鉱物市況が底打ちしたが、鉱山機械のユーザーの多くはなお買い替えに慎重だ

「今は臥薪嘗胆の時だ」。建設機械の国内最大手・コマツの大橋徹二社長は、決算説明会の場で厳しい表情のままそう語った。

同社が発表した2016年3月期の売上高は前期比6%減の1兆8549億円、営業利益は同14%減の2085億円に沈んだ。北米の建設機械は、住宅好調やドル高を背景に大幅増収となったものの、その他の地域は軒並み減収。とりわけ、インフラ投資が減少している中国の建機や、鉄鉱石など資源価格急落の直撃を受けた中南米、豪州、アフリカでの鉱山機械の落ち込みがきつかった。

中国での売上高は、ピークだった11年3月期の4282億円(連結売上高の23%)に対し、16年3月期は1000億円(同5%)と、4分の1以下にまで激減した。

中国では、交通網の整備などインフラ投資のため、2兆元程度(約34兆円)の財政出動があるのではないかという期待が高まっている。3月には建機需要が上向く兆候も見えた。しかし、実際のところは、「4月から排ガス規制が強化される前に旧型機への駆け込み需要があった影響が大きい。4月以降はその反動もあって動きは鈍い」と大橋社長は慎重に言う。

鉄鉱石などの資源価格も底打ち傾向にあるが、「問題は建機の実需がどうなるか。資源メジャーなども、投資再開のステージに入った会社がある一方で、構造改革真っただ中の会社もあり、全般的に今年も厳しい」(大橋社長)。

北米が減収に転じる

コマツが決算で示した17年3月期の業績予想は、売上高が前期比9%減の1兆6850億円。営業益は同28%減の1500億円と2期連続の減益を見込む。国内外で建設・鉱山機械の新車更新需要が軟調に推移。さらに追い打ちをかけるように、年初来の円高急伸が収益を圧迫する。

今期、会社側が前提としている平均為替レートは、1㌦=105円(前期実績は120.8円)。対ドルで1円円高になるだけで約25億円の減益要因となり、建機事業の減益要因の大半をこの円高が占める。前期は唯一増収だった北米も、今期は逆に最大の減収要因に転じてしまう。

日本銀行が4月28日の金融政策決定会合で、追加の金融緩和を見送ったことで一時1㌦=106円台まで円高が進行。為替に関してはバッファがなくなってきた。

が、建機市場については、「コマツの予想は保守的」との見方もある。今期の中国市場の需要について、同社は前期比20~25%減と厳しく見積もっている。中国政府の政策次第ではあるものの、上振れる可能性は残されている。

日本国内の需要についても会社側は10%前後の続落を見込む。ただ、東京五輪需要の顕在化に加え、地震で被災した熊本の復興需要なども上乗せされれば、状況が変わってくる可能性はある。

とはいえコマツはあくまで慎重な前提にこだわる。決算と同日に発表した19年3月期までの新中期経営計画でも、今後3年間の建機市場全体は“ゼロ成長”を基本とした。

市場の停滞に今後どう対応していくのか。大橋社長は「スマートコンストラクション(情報化施工、無人化運転)などを通じて業界水準を上回る成長を狙う」とする。明確な数値目標こそ出さなかったが、その口ぶりや表情には、アジア断トツであることの自負と、さらなるシェア拡大への意欲が感じられた。

研究開発費も今期は725億円と、前期から18億円増の高水準を維持。イノベーションによる競争力確保には余念がない。今は次なる成長へ向けた雌伏期といえる。

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