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CASIO(カシオ)よ、アップルになれ! 野心は引き継がれた

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凋落する日本の民生エレクトロニクス界でいまだ気を吐くのがカシオ計算機だ。経営は創業メンバーの樫尾4兄弟から息子たちの世代へ受け継がれつつある。

この国にはかつて「電卓戦争」と呼ばれる熾烈な戦いがあった。1960年代後半〜70年代、電卓市場に50社以上が参入し、激しい開発競争が繰り広げられた。

この戦いでは特筆すべきことがいくつもある。まずマイクロプロセッサーが世界で初めて実用化された。半導体、液晶ディスプレー、太陽電池技術が大きく発展するきっかけにもなった。単品の開発競争にとどまらず、エレクトロニクス界の発展に多大な影響を及ぼしたのである。

その後、電卓市場は淘汰が進み、数社による寡占状態に移行していく。そこで勝者となったのがカシオ計算機とシャープだった。両社は電卓で培った技術をテコに事業を展開。世界のトップグループの一員として頭角を現していく。

だが、現在の両社は明暗がはっきりと分かれている。シャープは液晶工場への大型投資があだとなり、自力で将来の青写真を描くことは不可能になった。一方、カシオは2014年3月期に過去最高益を記録し、今年度も連続で最高益を更新する好調ぶりである。かつては日本経済を背負った民生エレクトロニクス分野。その時代が終わりを告げる中でも、カシオはいまだ気を吐く希有な存在となっている。

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